ROVER MINI Direct Release
ローバーミニのダイレクトレリーズ化
旧タイプクラッチはトラブルが多く、悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
今回はワンオフではありますが、一つの方向性としてチャレンジしてみました。
おそらく世界初の試みだと思います。(2009/10/31完成)
まずはレバー、油圧装置の採寸から始まり
レバー比、油圧比を計算
ノーマル相当の操作力でいいのか検討し
レリーズ本体、マスターシリンダーを選定します。
本来、自社で加工・製造する場合
一々図面にしたり無駄な様に思われるかもしれませんが
眺めていただけでは解らない新たな発見が多々有る事や
何よりデータやノーハウの蓄積等も
専門店の使命と考えるからです。
レリーズが決まったら、レリーズボスの形状、
取付寸法、位置等を決め図面に起こし
図面を元に削りだします。
ボスが完成
ボスをクラッチハウジングに溶接する為のジグ
ジグでボスをハウジングに寸分狂わず
センターが出せた状態で固定
この状態でボスをハウジングに溶接します。
後で説明しますが、国産レリーズベアリング装着用に
ベアリングのフトコロを少し増やします。
旋盤に固定する為にもジグを製作しています
国産レリーズをミニのプランジャーに固定する為の
アダプター&ベアリング固定用ジグ(写真無)を製作
ダイレクトレリーズに合わせ
プランジャーの長さを変更
焼けている鉄塊も旋盤用のジグ
このレリーズベアリング(国産)
はかなり前からラリー用クラッチカバー(オレンジ)
で耐久テスト(3年以上通勤等)を行い
高結果が得られたもので今回も使用します。
ハウジング回りの準備が完了
今回 取り付けを行う車
ジムカーナではおなじみのSさんのミニです
ふだん通勤等にも使用しかなり距離を走る為
(ラリー用クラッチカバーにて)
レリーズレバーを何本折った事か・・
そこでダイレクトレリーズ計画が始まりました。
ハウジングアッシーを干渉も無く
取り付ける事が出来ました
干渉はしないのですが
メンテナンスを考えインナーフェンダーを加工
インナーフェンダー加工の
脱着式サービスウインドウの蓋
ノーマルレリーズ部にリターンスプリング用
ブラケットを製作
選定したマスターシリンダーの
アダプターを製作し取付
(国内にお目当てのシリンダーが無かったので海外注文品)
ブレーキマスターバックブラケットに
クラッチマスターのリザーバーブラケットを製作取付
すべての取り付けが終わった画像です
キャッチタンク、MDI等で
ほとんど見えなくなってしまいました。
さて、エア抜きも終わり、いよいよテストです
踏み力もほぼ変わらず計算通り良い比率です、
やはり、レバーの加速的な比率(弧を描いた軌道による)
接触抵抗が無いぶん
ペダルに伝わる感触もリニアで捕らえやすいですね。
今回は遊びも自動調整では無く、
手動で調整できるのでオーナーの好みに出来ます
あとはオーナー様による耐久テストですね。
ダイレクトレリーズ ワンオフ製作にあたり
データ取り、計算、マッチング等の為に書いた図面や
製作用ジグ、ブラケット、アダプター、切削部品等の数々
すべての時間、製作部品点数を計算しだしたら大変な事になっちゃいます、
毎度、金額も決めないまま(ワンオフ物は中々決められませんが・・)
作業が進行している様子はお互い笑っていても内心はドキドキだったりします
信頼関係が無いと、とても依頼又は受注する事は出来ませんね。
今回の作業はブロスガレージ主導の元、行った作業
言わば、やりたかった作業でもあります
オーナー様には良心的かつ適正な価格で請求させていただきました。
(つねに心がけていますが・・・)
作業照会 スタートでいきなりこんな話題で
ハードルが上がったと言うか重いと言うか・・・
ま、今後は軽いのから重いのまでごちゃ混ぜの
何でもアリアリでお気軽に行きたいと思いますので
よろしくおねがいします。